アダルトチルドレンとは
アダルトチルドレンとうい言葉は1990年頃から日本に浸透してきました。アダルトチルドレンという名前から、子供のまま育った大人という風に思っている方も多いかと思います。
もともとはアメリカでアルコール依存症の親の元で育ち大人になった人の問題を表す言葉でした。日本に入ってきた時に、機能不全の家族の元で育った人という意味に拡大され広く知られるようになりました。現在では機能不全家族の元で育ったことで、親との中に何かしらトラウマを持っている成人という意味となっています。
アダルトチルドレンの方達は、生きづらさを抱えており自分に自信が持てなかったり、人の目が気になったり依存的になりやすかったり傷つきやすい繊細な心を持っていたりします。
機能不全家族と里子
機能不全家族とは、日常的に虐待やネグレクトがあったり、親がアルコール依存症や共依存に陥っている家庭を指します。また親の死や離婚、浮気。兄弟格差や家庭不和、家庭内暴力、生活苦、不遇な里子経験など色々な問題が子供達に影響されると考えられています。
精神科医の廣瀬久益は、「家庭内に問題のある子供は、大人同士の諍いなど未成熟な幼年者には理解できないものばかり見せつけられて感受性のアンテナが対人関係にばかり向いてしまい、自分の気持ちと向き合う機会が減る場合があり、そういった子供は20代前半頃までは、豊かな社会性で友人間の仲裁役を行うなどリーダーシップを取ることができるが、誰もが社会性を身につけ他人ばかり気にしていられない大人世代になると、自分の気持ちに対する感受性の弱さから感情調整や自己信頼能力などの不安定さが問題となる」というモデルで説明をしている
引用元:ウィキペディア
以前パーソナリティ障害と里子達の危険性について書きましたが、小学校高学年から中学生以上で保護された子供達はほぼアダルトチルドレンになる危険性があると思っています。やはり長い期間機能不全の家庭にいるとその後里親さんの家庭にお世話になってもトラウマはやはり付き纏います。アダルトチルドレンにはその家庭内での役割別に名前がついており、その役割ごとに彼らのトラウマと抱えている問題は違ってきます。
アダルトチルドレンの種類
アダルトチルドレンのタイプとして、6つのタイプがあげられています。全タイプに共通して、自分の都合ではなく、親の機嫌や家の中の雰囲気を優先して行動するとされています。
- ヒーロー(英雄) 家族の内外で評価され、家族がさらなる活躍を期待することで、それに過剰に応え続けようとする。自分の活躍で冷えた両親の関係が一時的によくなったりするため、がんばりすぎてしまう。
- スケープゴート(いけにえ) 関心を引くために好ましくない行動をとる。一家の負の部分を背負い込まされ、「この子さえいなければ、すべては丸く収まるのではないか」という幻想をほかの家族が抱くことで、家族の崩壊を防ぐ役割となっている。非行に走っているように見えるが、実はこのタイプということもある。ヒーローの逆のタイプ。
- ロスト・ワン(失われた子供、いない子) 目立たず静かにふるまい、普段はほとんど忘れられている。家族の人間関係から距離を取り、心を守るための行動である。
- マスコット、クラン(道化師) プラケーターの亜種。道化師のような行動で家族間の緊張を和ませる潤滑油的存在で、家族の目を問題からそらす。表層的にはペットのようにかわいがられる。
- プラケーター(慰め役) 家族の中で暗い顔をしているものを慰め助け、カウンセラーのような役をする。
- イネイブラー(支え手、援助者) 家族のほかのメンバーに奉仕することで、自分の問題と向き合うことを避ける。家族の中で親のような役割をするため偽親とも呼ばれ、第一子がこうした役目になることが多く、第一子が別のタイプになった場合はその下の子どもがイネイブラーとなることもよくある。
引用元:ウィキペディア
親や家庭の空気を読み、子供達は必死に機能不全の家庭の中で生き残るよう本能で探っていった結果こうなっていくのだろうなと感じます。そのため、自分と向き合うという事ができなくなり、大人になるとどう自分と向き合うのか分からなくなってしまい、色々なトラウマと問題が起こるのでしょう。
里子達を見ていて
私がお手伝いしている里親さんのご家庭は、小学生以上の子供達を見ているので顕著にアダルトチルドレンの特徴が出ているなと感じる事が多いです。ああこの子は、家庭内でこのタイプだったんだなぁとすぐわかります。
親の慰め役をしていた子は今でも自分の本当の気持ちを言うのが苦手で我慢しがちです。親がいつも自分は辛いしんどいといって言うのを黙ってうんうんといつも聞いており、自分の話はできない、親が辛いのに迷惑をかけれないとそう言う風に思ってしまっていたのだと思います。ですが本人は自分と向き合うと言う事ができないので、どうして本音を言えないか分からずその感情も押し込めてしまいます。何度も何度も言い聞かせ、自分と向き合えるよう本音が言えるよう訓練が必要だと感じます。
乳児、幼児のうちに保護された子供達は、その後の里親さんのご家庭でのびのびと育つことによりアダルトチルドレンの要素は確実に減ると思います。やはりパーソナリティ障害と同じく長い期間辛い状況にいる子供ほど、トラウマを克服するのにも時間がかかると感じています。
アダルトチルドレンの回復
アダルトチルドレンである人々の回復は、自尊心の向上そしてインナーチャイルドの癒しが必要だとされます。インナーチャイルドとは内なる子供、心の奥の底に眠る自分の幼い無垢な心の事です。幼い自分を認め、自分で自分の幼心を癒す事が効果的です。
アダルトチルドレンの回復にも、第一歩は自分が置かれていた環境と自分の現状を認識する事だと私は思っています。そして、改めて認識し自分を認め自分の気持ちと向き合う練習をして、インナーチャイルドを癒し自尊心をあげていく事が大事です。自分の気持ちと向き合えずトラウマと焦燥感を抱えたまま、どうしてこんな気持ちになるのか分からないと依存症に陥ってしまうのだと思います。
思う事
最初に日本でアダルトチルドレンを定義づけた精神科医の斉藤学は「ACじゃない人なんていないからね。大体の人の親は、変でしょう」と言っています。それは少し言い過ぎだと思いましたが、確かに全く問題なく幸せな家族と言うのは少ないんじゃないかなと思うところはあります。離婚されている家庭も現代多いですし、何かしら子供達には影響している部分はあるかと思っています。ですので、自然と自分と向き合い自分を認めれると言う行為をできる人は少ないかもしれません。ですが人は成長過程で周りとの接触や助けにより何度も挫折しながら成長していくんだと思います。
里子の子供達は幼少期からずっと機能不全家庭の中で育ち、不登校になる子供も多いので外との接触が極端に減るため顕著に特徴が出る気がしています。里親さんのご家庭に来ることにより、他人との接触に慣れていき、自分と向き合う訓練を徐々にできるようにサポートしたいと思っています。
機能不全家庭の問題は根が深く難しい問題ですが、一人でも多くの子供たちが子供らしく生きれるように、そして大人になった彼らが幸せになるように何かできればと思います。
過去記事↓↓
パーソナリティ障害(人格障害)について。私が思う原因と保護される子供たちの危険性
最後までお読みくださりありがとうございました。
睦月