線路を歩く親子の後ろ姿の写真

一時保護の緊急性と子供が日に日に変わっていく様子

一時保護の子供達

顔を覆っている少女の写真

私がお手伝いしている養育里親さんのご家庭には養育里子の子たち +  一時保護の子供達も結構やってきます。一時保護の子達は長くて3ヶ月弱、短くて1、2週間で自分の家族の元、または施設に戻っていきます。

一時保護は本当に緊急に保護しないといけない状況でやってきた子たちが結構いて、着のみ着のままでくる子も多くパジャマで来た子もいます。荷物も取りに帰れず、そのままその場で保護という場合もあり、その為里親さんは下着や洋服などある程度ストックされています。施設や行政から服の貸し出しや筆記用具や勉強用のドリルなんかも持たせてくれたりします。

そんな状況で来る子供達は最初はやはり戸惑っている子たちが多く、知らない大人に囲まれて緊張している子たちが大半です。

日に日に変わってくる子たち

緊急で保護された子共たちは、最初は戸惑っていてどうして保護されたかなどはなんとなく理解はしているけど、状況についていけていないという感じの子達が多いです。子供達はあきらかに落ち込んでいたり傷ついていたりという事は、今のところ一人もいませんでした。最初は状況に戸惑っていて、緊張はしているけどすぐに普通になります。全く普通と変わらず元気な子は元気ですし、大人しい子は大人しくしています。意外と皆ケロっとしているものなんだなと最初は少し驚きました。

子供達は他の家庭や普通を知らないので、自分の家庭や状況がが全く日常の一部と化しており、なぜ保護されたかは理屈としてはわかっているけど、本人は今までの状況を受け入れてきていたので、そうなんだくらいのどこか他人事のような感じで受け取っている気がします。それよりも学校に行けないことや友達と連絡が取れない事に憤りを感じている子が多く、そういう子は家庭の事より友達に会いたいために早く帰りたいと申し出る子が多いです。

ですがそういう子たちも、行政の担当の方や里親さん達と接して色々話しているうちに、押し込められていた気持ちや封印していた違和感などを認識し、だんだんとおかしかったんだな理解していきます。そして、何気ない普段の時にぽつぽつと家ではいつもこんなだったというふうに自分の家庭や状況を話し始めたりします。それも本当に普通のテンションで、泣きながらや苦しそうになど話す子は一人もいませんでした。ご飯を一緒に作っている時などに、家ではこうだったよー!とうぐらいの軽い感じなので時々内心ええ?!と思いながら、そうなんだねーと普通に接するようにしています。

この普通に何もないかのように話すという行為には、色々な彼らの葛藤が隠れているんではないかと感じています。本当に日常で疑問を持っていない為、普通に言うという場合ももちろんあります。他には日常として受け入れているものの、やはり心の奥底ではショックだったり嫌だったりする事を嫌だったと言っていいかわからず、普通に言って反応を見ているような気もします。また、自分の話を嫌悪なく聞いてくれるかどうかの試し行動なども含まれている気がします。これらは全く意図せず無意識にやっていてそれと同時に、今まで抑えていた自分を解放してもいいんだ、ここなら自分を受け入れてもらえるんだという事も認識し始めてだんだんと変わってきます。

抑えていたものが出てくる

自分を受け入れてもらえると分かった子供達はだんだん抑えていたものが出てきます。そう聞くと辛かった感情が出るという風にイメージされる方も多いと思います。大人の場合はそういう方が多いと思いますが、精神的に成長途中の子供の場合は違います。

子供達は抑圧されて育つ為、辛いという感情より先に自分のアイデンティティを見失っています。自分と向き合うことができず、自分がどう感じているのかどう思っているのかわからなくなっているのです。なので、安心してさらけ出していいのがわかると今まで抑圧されていた自我が解放されます。彼らは幼児期に認識される自分と他人の境界線がまだまだあやふやなまま育っていることが多く、急に幼児的万能感などが出たり、いやいや期など幼児の精神成長過程と似たようなものが出たりします。

以前にも書いたことがありますが、自分の話ばかりしたり、自分に注目を集めようとしたり、全てにおいて反抗したりなどの試し行動が出ます。

対応の仕方

こういう時やはり一度受け止めてあげるのがいいと思いますが、今まで抑えていた分子供達は愛情に貪欲になっています。全て聞いていたらその後思い通りにならなかった時にもっとフラストレーションが溜まると思うので、やはりダメなものはダメというルールを決めるのは重要だと思います。

話はできるだけ聞いてあげるのがいいと思います。ですが、聞いてほしいために邪魔をしてきたり妨げる行為がある場合はちゃんとこれが終わってからと言い聞かせるのが大事です。それでもすねたり、怒る子もいるかもしれません。それでも態度は一貫してダメなものはダメなんだと知らせることが大事です。みんなが忙しくしていて、自分に注目がない時などは少し擦っただけで痛い!と騒いだり、歌ったり、何度も話しかけたりして注目させようとする時もあります。そういう時は、相手はするけどそこまで過剰に反応しなくていいのかなと思っています。そうしないと、こうすると自分に注目が集まると学習し学校でや他の人にもやってしまうようになるんじゃないかと思っています。

この子達は抑圧され辛い状況で育ってきた為、全てを受け入れてあげたい所ですが、今幼児期の成長をしていると思うとここで可哀想に思い彼らの言いなりになってしまうと、彼ら自身の心の成長を妨げてしまうのではないかと私は考えています。

最後に

抑圧された状況で育ってきた子供達の心の成長は、まだまだこれからかもしれません。日に日に変わる子供達に最初はどう接していいか私も戸惑いましたがそれが、今は色々な形で出ても彼らが無事成長できるようにサポートしていきたいと思っています。

過去記事↓↓

養育里親新しく来た子供たちが最初に出る行動

養育里親の活動支援で気づいた事(子供達への接し方)

養育里親子供達の訴え

養育里親一時保護で来る子供達を見ていて思う事(幼児的万能感?)

最後までお読みくださりありがとうございました。

睦月

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